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⑤ 無水調理ジャガイモの揚げたてコロッケ in ダッチオーブン

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厚揚げネギ味噌の七輪炭火焼きと冷やしキュウリで胃が落ち着いたところで、いよいよ2回目のダッチオーブン料理を開始する。

コロッケの具はジャガイモとカボチャ。メインの具を柔らかくする加熱調理にもダッチオーブンを使い、衣をつけてから揚げるときにもダッチオーブンを使う、ダブルダッチオーブン調理なのだ。

家でコロッケを作る場合、ジャガイモやカボチャは茹でて柔らかくなるまで加熱するかレンジでチン。それに対してダッチオーブンにジャガイモやカボチャを入れて、水を加えずに加熱する調理法を無水調理という。野菜中に含まれる水分だけで蒸し焼きになる。野菜の旨味が茹で汁に逃げず、旨味の濃い具になる分厚い鉄鍋ならではの優れた調理法だ。

ダッチオーブンでジャガイモとカボチャの下拵え

  1. ダッチオーブンを炭火の上においてプレヒート(事前にダッチオーブンを温めておくこと)する。
  2. よく洗ったジャガイモを皮ごとむかずにダッチオーブンに入れる。
  3. ダッチオーブンの蓋をして、蓋の上にも十分火の熾きた木炭をのせる。上下火で加熱する。火力は中火の少し強めが目安。時間は気温にもよるが20~30分。
  4. 時々蓋を開けて数個のジャガイモに竹串を指す。串が通ればできあがり。
  5. ジャガイモはコロッケ用に潰す班に渡して、そのままダッチオーブンにホイルで包んだカボチャを丸ごと入れる。
  6. 同じく20~30分蒸したら半分にカット、種を抜いて適当なサイズにカット。あとはジャガイモと同様にマッシャー班に渡す。

コロッケ具材を混ぜて形を整える

  1. 別々のボウルに移したジャガイモとカボチャをスプーンやフォークで潰す。少し粗めに仕上げたほうが粗挽きソーセージのようにホクホクしていて好きだ。
  2. フライパンで炒めた玉ねぎのみじん切りに挽き肉を入れて塩と胡椒を振りかける。挽き肉の色が生の赤が無くなればOK。
  3. ジャガイモのボウル、カボチャのボウルに炒めた挽き肉を混ぜ合わせてコロッケの形に仕上げる。ビニールに包みながら整えると手が汚れずラクチン。
  4. 片栗粉、溶き卵、パン粉の順番に流れ作業。ビールを飲みながら腹の空いている作業員はどんどんコロッケを作り上げる。

いよいよダッチオーブンでコロッケを揚げる

  1. ダッチオーブンにサラダ油をたっぷりと注ぐ。
  2. パン粉を時々入れて、すぐに油に浮く程度まで油が温まれば準備完了。
  3. 余計なパン粉をはたき落としたコロッケをダッチオーブンの油に浮かべる。温度が急に下がらない程度のコロッケを入れる。
  4. 分厚い鉄鍋なので油の温度が安定している。3~4分も揚げるとこんがりキツネ色。
  5. すばやく金網の上に移して余計な油を切る。さあ、もう待ちきれない。

まずはジャガイモコロッケ。第一弾のコロッケは皿に移す間も無くソースがどぼどぼとかけ回される。次々に箸が飛んできて、分厚いコロッケを頬張る人たち。

「あふっ、あふっ!ふまっ、ふまっ!(熱い、旨い!)」

と叫びながら揚げたてコロッケにかじりついている。大振りのジャガイモコロッケはかじりついた断面から粗挽きのジャガイモが口に転がり落ちる。この食感の違いが楽しい。

第二弾のカボチャコロッケ。クリームコロッケのように滑らかなカボチャコロッケは甘くて、ソースの辛さに素晴らしくマッチ。無水調理の野菜は味が濃密で、口の中にカボチャを丸ごと頬張っているようだ。

ようやく皿に盛られたキャベツ千切りの横にコロッケを盛り付ける。刺身には大根のツマ、サンマには大根おろし、コロッケには千切りキャベツが欠かせない。

レシピの細かい分量を気にせずに買い物をするので、明らかに買い過ぎた挽き肉パックが大量に余っている。急遽メンチカツを作ることに全員の顔がほころぶ。

みじん切り玉ねぎ、生の挽き肉、生卵、つなぎのパン粉、塩と胡椒で下味をつけてを混ぜ合わせる。片栗粉をつなぎに少し加えて形を作れる程度に粘り気があればOK。コロッケ同様に丸めて、片栗粉~溶き卵~パン粉の流れ作業。ジャガイモやカボチャもいいが、肉はずっしりした手触りがいい。

七輪から炭火を追加した火力充分のダッチオーブンの中でメンチカツがじゅわじゅわと音をあげながら踊っている。生から揚げるので、中心までしっかり加熱する必要がある。ダッチオーブンの蓋をすることで、温度が下がらず鉄鍋の中の酸素量も増えないので衣も焦げにくくなる。

3~4分加熱してダッチオーブンの蓋を開ける。試しにひとつ取り上げて半分にカットする。透明の肉汁があふれてくる。げんこつメンチカツができあがり、キャベツの上に盛り付けられる。ソースをたっぷりどぼどぼ。和がらしの用意があればと悔やみつつも、粗挽きハンバーグのような食べ応え充分のメンチカツ。ソースの酸味、肉の強い旨味、あらたにクーラーボックスから取り出した缶ビール。素晴らしいビーチランチだ。

せっかく頑張って千切りにしてくれた調理班の苦労も知らず、キャベツが残りメンチカツばかりが消えていく。

残ったキャベツを頬張ってくれるひぐっちゃんは単にキャベツ好きなのか、面倒見がいいのか分からない。

昼過ぎには全てのコロッケとメンチカツもみんなの胃袋におさまり、緩い空気の午後にみんな大満足だ。少し離れた岩場で静かにビールを飲み続けるものもいれば、固い海岸にシートを敷いて 調理用のキッチンペーパーロールを枕に寝転ぶものもいる。メンバーの女王様もアウトドアチェアにふんぞり返ってご満悦の様子だ。

大人数料理をまとめて作り上げるこの鉄鍋、ダッチオーブンに改めて感心しながら片付け始める。ダッチオーブンは片付けが次の調理の準備でもあるのだ。

揚げ物油をフライパンに移して固めるテンプル投入。キッチンペーパーでダッチオーブンに残った油を拭き取る。水を数センチ注いで炭火にかける。こうしてまず余計な油や汚れを落としやすくする。沸騰したらささらでダッチオーブンの汚れを落として湯を捨てる。

再び水を入れて沸騰させ仕上げの汚れ落とし。洗剤を使うと油のコーティングがとれて錆びてしまう。お湯とささらやタワシだけで丁寧に汚れを落とす、これがダッチオーブンの正しい洗い方だ。

最後の湯を落としたら乾燥させるためにもう一度炭火にのせる。鉄鍋と蓋がすっかり乾燥したら火から下して風通しの良い場所で冷ます。次の料理のために食用油を薄く塗る。キッチンペーパーよりも肌理の細かい布のほうが紙くずが残らず磨きやすい。塩分を含まないオリーブオイルがいいようだ。「黒光り」という言葉に憧れた男たちはごしごしと順番に磨く。

「よし、次はゴールデンウィークにでもキャンプしよう。一泊二日で何回か料理すれば、ブラックポットっぽくなるだろう」

我々の目的は大人数の料理を楽においしく作ることよりも、ダッチオーブンを男らしいブラックポットに早く仕上げることに偏りがちだが、簡単に旨い料理がでできることが証明された。そしてこの日から、レシピ本に書いてあるメニューを順番に、みんなで交代で作ることに決まったのである。

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けんこー

 

けんこーです!
金属性のバーベキューコンロよりも、珪藻土の七輪に萌える。だってお箸の国のバーベキューだもの。

神奈川県のとある海岸を、けんこー海岸と名付けて七輪バーベキューで浜宴会を実施中。

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